1. 記事一覧
  2. 先端半導体開発に打ち込むエンジニアたちの熱い挑戦 ~演算処理性能を最大化させるAI半導体|電力効率を最適化させるパワー半導体~

先端半導体開発に打ち込むエンジニアたちの熱い挑戦 ~演算処理性能を最大化させるAI半導体|電力効率を最適化させるパワー半導体~

Hondaでは自動運転を実現するためのAI半導体、省電力化の貢献に向けたオリジナルSoCの開発に注力している。Honda Tech Talks#7では、現場エンジニアたちがHondaオリジナルのSoC開発に向けた技術やノウハウ、AI半導体やパワー半導体、材料の研究開発における取り組みを語る。

この記事に登場する人

志波 義勝近影
志波 義勝 Yoshikatsu Shiwa
八幡 和樹​近影
八幡 和樹​ Kazuki Yahata
谷高 真一近影
谷高 真一 Shinichi Yataka
小森 健太郎近影
小森 健太郎 Kentaro Komori
安藤 裕紀近影
安藤 裕紀 Hiroki Ando

BEV企画統括部 開発プロセス改革部 開発DX推進課 チーフエンジニア

2001年、Hondaへ入社。
量産エンジン/F1車体 CAE技術構築を担当。2014年からエンジン量産開発/Rテーマ推進を担当。2023年から四輪開発における半導体研究・開発戦略を担当。

電子プラットフォーム部 電子制御ユニット開発課(赤坂) チーフエンジニア​​

2006年アナログCMOS設計の工学修士を取得し、2007年、Hondaへ入社。N-BOX エンジンECU開発に従事。2012年から、STEPWGN ミッションECU開発LPLを担当し、2016年からLegend 自動運転ECU開発に従事。2021年からAD/ADAS ECU開発 チーフエンジニアに着任。2024年より SoC開発 グループリーダーに着任。

サプライチェーン購買本部半導体調達戦略部 チーフエンジニア

2000年Hondaへ入社。Siパワー半導体の設計や電気特性評価を担当しHonda IMAシステムインバータ用パワーモジュール開発。2010年から高圧系(1200V)パワー半導体開発に従事し、ハイブリッドシステム用インバータ(PCU)やe:HEVシステム搭載ハイブリッド車の量産車を開発。2015年よりインバータ開発リーダーとして中大型車e:HEV用インバータを開発。2024年より半導体調達戦略部にて半導体戦略構築に参画。

株式会社本田技術研究所 材料研究センター リジェネラティブ材料研究室 チーフエンジニア

2001年にHondaへ入社後、量産車/F1用カーボンブレーキディスク・PAD材料開発を担当。2010年まで、エンジン・トランスミッション部品・フルードの低フリクション化に携わり、Diamond-Like-Carbon薄膜コーティングの研究開発、高効率・高容量クラッチ摩擦材料の研究を担う。2014年までは、シャーシ材料・デバイス・車両制御による乗り心地・感性研究に従事し、EPSステアリングG-Box・ボールジョイントの開発や次世代プラグイン車両の研究、サスペンション・ダンパー開発を担当。2017年よりチーフエンジニアに着任し、2019年まで磁気粘性流体MR可変制御ダンパーの開発と機械学習による車両制御・診断・モニタリング技術研究を担当。2020年より機能性材料・デバイス研究開発 グループリーダーに着任。2023年には先端コア材料研究開発 マネージャーに着任。2024年、エレクトロニクス・半導体技術責任者に着任。

開発戦略部 シニアチーフエンジニア

1998年、Hondaへ入社し量産車ドア設計を担当。2代目オデッセイのドア部品設計に携わる。2000年に車体性能開発室課へ異動、流体シミュレーション業務に従事し量産車の風切り音予測と対策を実施。2005年から車体性能開発室課にてドア、ゲート、風切り音、ワイパー性能などの外装領域実車検証業務に従事。2009年から車体性能開発室 外装、人間工学領域チーフ業務に従事しCivic、ILX、JADE、STEPWGNの開発業務を推進。2014年から風切り音向上の全社プロジェクトにプロジェクトリーダーとして参画し業務を推進。2019年からエクステリア設計・性能開発室 MG業務を推進。2022年から開発プロセス改革部 部長業務を推進。2024年から開発戦略部 部長業務を推進。

アーカイブ動画

Hondaが目指す将来目標と、知能化・電動化を支える半導体技術

登壇者①

BEV企画統括部
開発プロセス改革部
開発DX推進課
チーフエンジニア

志波 義勝

最初に登壇したのは2001年に入社後、長年にわたり量産エンジンやF1車体のCAE技術構築に携わってきた志波 義勝氏だ。2023年から四輪開発における半導体の研究・開発戦略を担当している。

Hondaでは2050年までに、全製品ならびに企業活動におけるカーボンニュートラル、交通事故死者ゼロを目標に掲げている。

実現に向けては電動化やADASなどの技術開発が必要不可欠であり、電動化においては2024年1月に開催された「CES 2024」で、「Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」というコンセプトを掲げた2台のモデルカーを発表した。

Hondaは、EV開発においてもこれまで大切にしてきたクルマづくりの理念である「MM思想」「操る喜び」「自由な移動の喜び」を軸としながら、新たな開発アプローチで臨んでいる。志波氏は以下のように、EV開発における意気込みを語った。

志波

ゼロからの発想で新たなEVを創り出し、新しい価値を世の中に提供していきたいと考えています。

中でも重要な要素が「Wise」だ。志波氏は「知能化」と表現し、「実現にはAI技術の進化が必要不可欠」と強調。具体的にどのような新しい価値を提供できるのか、どのようなAI技術が必要なのかも示した。

AI技術はセンシングにより情報を取り入れ、認知、判断、計画、実行していく一連の流れであり、これは人間が目や鼻といった感覚器官を使い状況を認知し、計画・実行しているのと同じだと志波氏は語る。

志波

人間と同じような考え、振る舞いを取り入れていきたい。そのためには、AI技術の進化はもとより、AI実行の高速化と省電力化が必要不可欠であり、実現に向けては半導体技術が重要となる。

例えば、必要以上に高スペックなAI半導体を採用した場合、AI実行の演算効率が低下したり、ムダに消費電力が増加するからだ。

パワー半導体も同様であり、変換効率が低いとAI半導体と同じく無駄に電力を消費する。その結果、走行距離が短くなるといった影響を及ぼす。これでは、先述したHondaが目指すEVの思想に合致しない。このような理由から、Hondaは先端半導体の開発に注力していることを解説し、次の登壇者にバトンを渡した。

モビリティ社会の先端的な半導体を目指すHondaの取り組み

登壇者②

電子プラットフォーム部
電子制御ユニット開発課(赤坂)
チーフエンジニア​​

八幡 和樹

続いて登壇したのは、入社後一貫して「ECU(Electronic Control Unit)」の開発に取り組んできた八幡 和樹氏だ。現在はSoC開発におけるグループリーダーを務めている。

従来のICE(Internal Combustion Engine ※いわゆる内燃機関)を搭載したモビリティでは、馬力や燃費といった指標がクルマの価値を決めており、Hondaの強みでもあった。しかし、「BEV(Battery Electric Vehicle)などのSDV(Software Defined Vehicle)においては、ソフトウェアを搭載する電子プラットフォームの価値が高まる」と、八幡氏は言う。

その電子プラットフォームの中核となるのがAI半導体であり、八幡氏はこのAI半導体をカスタム開発する業務に携わっている。

AI半導体とは、情報の認知、判断、計画、実行といった動作を高速、高効率で動かす半導体である。自動運転に限らず、各種デジタルプロダクトや空間価値を演出するAIアプリケーションに必要不可欠な半導体でもある。

HondaはこれまでAI半導体をサプライヤーから外部調達していたが、さまざまな問題が生じるようになってきた。例えば、アルゴリズムも半導体も全てサプライヤーから調達していた頃は、基本的に仕様変更が不可であった。

そのため、ブレーキの誤動作など不具合が生じた場合も、原因の特定や再現にデータが必要など多大な時間がかかり、Hondaが求める開発スピードと合わなくなってきたのである。

そこでHondaは、アルゴリズムは自社開発し、汎用的な半導体をサプライヤーから調達する方式に変えた。しかし汎用品のため、自社では使わない部分があったり、必要のない処理を行うことで処理時間が増加したりするなどの問題が生じた。

ISP(Image Signal Processor)、NPU(Neural Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサーを搭載したAI半導体で、画像処理やDNN(Deep Neural Network)を実行した例をもとに、八幡氏は次のように解説した。

八幡

実際動かしてみてはじめて、見えない半導体の仕様や制約で、当初予想していたよりも処理時間が大きくなりました。そして最適化を行うには、人も時間もかなり要していました。

このような経験や変遷を経ながらも、Hondaはアルゴリズム・半導体ともに自社で開発する体制に挑む。

将来的にはハードウェア・ソフトウェア両方の協調、最適化をさらに爆速で行うことも視野に入れており、その際にもハードウェア・ソフトウェア両方を自社開発できるからこそ行えると、八幡氏は力強く語った。

半導体のカスタマイズにおいてはさまざまな工程があるが、中でもHondaが注力しているのがAI処理を高速化するNPUのカスタマイズ、汎用品・カスタマイズ製品の選定判断を行うアーキテクチャ設計領域だ。

実際、従来のAIモデルにHondaが開発した最新のAIモデルを入れ込むことで、推論時間はおよそ2分の1に減少した。

アーキテクチャ設計においても、どのようなカメラをどれくらいの時間接続するのか、通信や電源モードはどうするのかなど、E&Eアーキテクチャにおいて、Hondaのユースケースの仕様にカスタマイズすることで、消費電力3割減を達成した。

八幡氏は、最後にHondaイズムの一つである「松明は自分の手で」という言葉を掲げながら、次のように述べ、セッションを締めた。

八幡

AIはこれからの時代において、価値の中心になるでしょう。そのような価値の中心となるAI半導体を自らの手で、自らの責任で作り上げていきたい。このような想いは『松明は自分の手で』という、Hondaイズムに共通するものであると考えています。

電動車に必要不可欠なパワー半導体の変遷とこれからの方向性

登壇者③

サプライチェーン購買本部
半導体調達戦略部
チーフエンジニア

谷高 真一

続いて登壇したのは、2000年の入社以来、Siパワー半導体や高圧系(1200V)パワー半導体の設計開発など、半導体業務に一貫して携わってきた谷高 真一氏だ。インバータ用パワーモジュールやe:HEV用インバータなど、インバータ全般の開発にも取り組んでいる。

当初はカーボンニュートラルを実現するために高効率なエンジンを開発することが起点にあり、専用のトランスミッションやインバータなどを開発していた。これまで培ってきたこれらの技術は、現在ではHondaのハイブリッドモデルe:HEVに集約されている。

谷高

将来的にはBEVに代表される電動車の拡大が計画されています。

電動車ではICEとトランスミッションに代わりバッテリーとモーターがエネルギー源と駆動源となる。一般的な電動車ではACモーターを採用しているため、直流電源のバッテリーから交流に変換する必要がある。その役割を担っているのが、電力変換ユニットだ。

そして、この電力変換ユニットのキーデバイスが、パワー半導体である。パワー半導体が高性能であれば走行距離が長くなったり、チップサイズが小さくなったりすることで、キャビンスペースの拡大に貢献するなど、クルマ全体の性能やユーザーが感じる走行価値に関わるからだ。

谷高氏は、パワー半導体はまだまだ進化すると述べ、その進化が結果として、「Hondaが目指すカーボンニュートラルな社会の実現にもつながる」と、力強く語った。

谷高

パワー半導体の開発は社会課題解決の重要な要素であり、これからも挑戦を続けていきたいと思います。

続いて谷高氏は、Hondaにおけるパワー半導体開発の変遷を紹介した。先に示した四輪電動車の歴史と重なっており、「キーデバイスである」の言葉を裏付けていることが分かる。

ウェハの開発などにも携わったことがあるという谷高氏は、パワー半導体開発の歴史を振り返り、以下のように述べた。

谷高

当初はシリコン製のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の開発や、使いこなすことが中心でしたが、現在ではSiC(Silicon Carbide)以外の材料の採用なども含め、さらに進化したパワー半導体を開発したいと考えています。

さらには四輪に限らず、二輪、マリン、航空機などにもパワー半導体を信頼性を高めながら展開することで、多様なユニットならびにモビリティの進化を牽引していきたいと述べ、セッションを締めた。

Hondaが目指す世界観と先端的な半導体の取り組み

登壇者④

株式会社本田技術研究所
材料研究センター
リジェネラティブ材料研究室
チーフエンジニア

小森 健太郎

 

続いて登壇したのは、入社以来、本田技術研究所に所属し、ナノテクノロジーや機能性デバイスなど、材料分野における研究開発に従事してきた小森 健太郎氏だ。

現在はこれまでのキャリアを活かし、先端半導体領域での技術責任者に加え、各種研究グループのリーダーなども務めている。

モビリティの電動化や知能化は、これまでの登壇者が語ってきたように四輪電動車に限ることなく、バイクやマリン、航空機など幅広い分野にも広がっていくだろう。

さらに小森氏は、モビリティという枠を超え、ビジネスや生活に必要不可欠な通信や送電といった、社会システムやインフラにもより一層深く関わっていくと、想定される未来のモビリティ社会を解説した。

そしてこのような社会では、安全性や環境負荷ゼロといった要素はもちろん、高性能化もより一層進むことから、消費電力をいかに抑えるか、省電力化も重要だと強調した。

特に注力しているのが、パワー半導体とAI半導体の開発だ。だが、両領域はHondaに限らず、競争領域でもあると、小森氏は指摘する。だからこそHondaでは、小森氏が所属する研究所でも最先端な取り組みを行っていると続けた。

パワー半導体では、小森氏の専門領域である次世代の半導体材料や、環境に考慮した材料を研究している。また、AI半導体においては、高速演算を実現しながらも圧倒的な省電力を実現するデバイスを目指している。

ムーアの法則でよく知られているように、半導体集積回路の集積度は劇的に上昇してきた。しかしながら、このような進化を実現してきた微細加工技術はそろそろ限界に達するのではないか?このような声が聞かれ始めている。一方で、さらなる半導体の高性能化が求められている。いわゆるMore than Mooreの世界だ。これまでとは異なるアプローチも必要となってくる。

自身も非常に悩んできたと語りながら、小森氏は解決策の一例を示した。動物や昆虫といった身のまわりの生物が兼ね備える、自然発生的なシステムや合理的な振る舞いの活用だ。虫がそれほどエネルギーを消費することなくぶつからずに飛び回ったり、深海魚が真っ暗闇の深海において、独自のシステムでセンシングを行い、餌を捕食したりするといった事例である。

このような取り組み・視座も含め、小森氏は従来のAI演算方法、いわゆるノイマン型は限界にきていると言われていると指摘する。Hondaでは人間の脳の構造や仕組みを利用した新しい演算方法を実現すべく、チャレンジを行っていることを紹介した。

小森

こうした取り組みは半導体開発に限ったことではなく、Hondaが実現したいAIやモビリティー社会実現のために行っています。

さらには、20年前に小森氏が描いた未来のモビリティ社会や、100年前の未来予測はその多くが実現できていることも紹介された。Hondaイズムにも掲げられているフレーズと重ねて次のように述べ、セッションを締めた。

小森

イノベーションやブレイクスルーとして評価してくれるのはお客様やユーザーであり、初めは一人の方にしか理解できないことからだんだん共感してくれる方が増えていって生まれると考えています。そしてHondaは、そのようなイノベーションを実現できる可能性が1%でもあれば取り組み、できたらいいなを実現していく、社会を変えていく。そのような社風があります。

Hondaの半導体開発に向けた今後の展望とは

登壇者⑤

開発戦略部
シニアチーフエンジニア

安藤 裕紀

最後の登壇者は、先端半導体開発チームのチームビルディングも含め、開発を推進してきた開発戦略部部長兼、シニアチーフエンジニアの安藤 裕紀氏だ。

安藤氏は、量産車ドアやエクステリアの設計などのハードウェア領域でキャリアを積んできた。一方で、顧客満足を徹底的に考えたクルマづくりの知見を活かし、今回の先端半導体開発プロジェクトを推進してきたという。

安藤氏は、改めて登壇したメンバーのキャリアを紹介した。最初に登壇した志波氏は、F1のエンジン開発から量産車のエンジン開発。谷高氏はパワー半導体の開発、さらには量産車パワーユニット領域全般のプロジェクトリーダも務めていた。また、八幡氏は量産車のエンジン、ミッションECU、さらには自動運転のECU開発まで担ってきた。

このように先端半導体開発メンバーは、単一領域のキャリアだけではなく、さまざまな経験値や極限の世界で戦ってきたメンバーが揃っている。加えて、自分の手で未来を創りたいという志の高いメンバーが揃っていると語った。

さらに先端半導体開発は単なる一部門のチャレンジではなく、Honda全体の取り組み、挑戦であることも強調した。

自動車メーカーが、先端半導体を自社開発するのはチャレンジングな取り組みであることは重々承知していると前置きした上で、こうも語っている。

安藤

しかし、我々ならできると考えていますし、この世界でもトップを目指しています。

Hondaの創業者である本田宗一郎氏が、当初は他社との大きな技術格差があったにもかかわらず果敢に挑戦し、数年後には表彰台を独占。世界中から喝采を得て、その後のHondaの世界的躍進の足がかりとなったマン島TTレースへの挑戦と重ねて、力強く語った。

安藤

これからのコア技術は半導体であり、省電力、高性能、省スペースがキーとなってきます。従来のHondaエンジンが世界を制したように、これからのデジタルエンジンでも世界を制する目標に向かって、勝つための戦略を描いていきます。

【Q&A】参加者からの質問に登壇者が回答

セッション後は、イベント参加者からの質問に登壇者が回答した。抜粋して紹介する。

 

Q.アルゴリズムを変更する度に、半導体側の設計も変更していくのか?

八幡

その都度変更するのは大変ですから、そのようなアプローチはしておりません。現在もしくは将来のアルゴリズムを予測した上で、合致する半導体を設計しています。 FPGA (Field Programmable Gate Array)で検証するなどの取り組みを行っていますが、日進月歩のAIで完全には合わせることはできません。そのため、ソフトウェアとハードウェアの双方の最適化が重要だと考えています。

 

Q.耐圧やRonなど、車載用SiCの要求仕様、現状の課題について

谷高

現在は直接携わっていないので、あくまでこれまでの経験ですが、耐圧に関してはマイナス40度あたりまでを設定しています。Ronは損失に関わるため、なるべく小さく要求していました。

現在の課題はチップを小さくすることがインバータを小さくすることに相関しますので、この取り組みに注力しています。

 

Q.価値の高い半導体の開発・量産に成功した際の外販は考えているか?

志波

圧倒的に世界一の半導体の開発に成功し、かつ、企業や社会から求められているのであれば当然、外販していく可能性もあると考えています。

 

Q.光電融合の研究も進めているのか?

小森

利用に関しては現時点では不明ですが、もちろん注目しています。ただし車載用の場合は、熱や振動といった要素が非常にネックとなります。一方で、このようなネックをブレイクスルーできれば、最高の技術になるのではないかとも思っています。

 

Q.生物観点からの着想での成功事例は?

小森

砂漠に住むトカゲの背中の模様を参考に、摩擦技術をクルマに取り入れた事例があります。ただし多くの方が私と同じような取り組みをしていますが、成功事例はかなり少ないのが現状です。

生物の仕組みは、神秘的であるからです。だからこそ、どこまで実現性の高いものに落とし込めるか、使えるようにできるか。そこが知恵の使いどころだと考えています。

 

Q.BEVにおけるAI半導体の消費エネルギーはどの程度か?

八幡

クルマの使い方にもよりますが、駐車していても映画やゲームを楽しんだり、監視状態にしておいたりなど、エネルギーを使うケースが増えています。AI半導体の電力消費も、現在はかなり大きな部分を占めています。

そのため、ハード・ソフトウェア双方で最適化し、それぞれのシナリオに合わせて効率よく動かすことが重要だと考えています。

 

Q.高性能なAI半導体でも、ソフトウェアの開発環境が重要になると思うが、NVIDIAのCUDAのような環境について見解をお聞きしたい

八幡

ご指摘のように、(ハードウェアの)自社開発だけでは目指す性能は実現できないと考えています。そのため、将来的にはSDK(Software Development Kit)なども開発の視野に入れて検討しています。

 

Q.四輪から二輪、航空機などへの展開について

安藤

現在は圧倒的なデータ量を誇る四輪電動車に注力していますが、今後は二輪やマリンでのニーズがあれば、いつでも使えるように考えています。

 

本田技研工業株式会社
https://www.honda.co.jp/

本田技研工業のキャリア採用情報
https://www.honda-jobs.com/

本田技研工業の採用情報
https://global.honda/jp/jobs/?from=navi_footer_www

本田先進技術研究所のnote
https://note.com/hgrx/

 

※掲載内容は、イベント実施日である2024年6月時点のものです

SHARE

記事一覧へ戻る